金魚すくい


「柚子」



知らない間に俯いていた私の頭上から声が降ってきて、同時に、私の右手にそっと優のゴツゴツと骨張った大きな手が滑り込んだ。


煙草の火傷が残る右手。


あれを見るたび、心臓が鷲掴みにされたような感覚になる。


だけど、いつも優はこの手を優しく握ってくれて、冷えた心ごと温めてくれる。



「大丈夫だよ。柚子が責任を感じる必要はないんだ」


「……うん、でも」



でも、やっぱり思ってしまう。


自分さえいなければ、ママ達は円満だったんじゃないのかって。


後から聞いた話、お義父さんは昔から子供が嫌いだったらしい。


私の存在は知っていたけど、ママと結婚した。


でもやっぱりダメだった。


我が儘でうるさくて煩わしい。


それは私に対してというよりも、子供という存在がお義父さんの中でイメージされていた。


だから仕事が少し上手くいってない時や、疲れている時に私を見かけると余計ストレスだったらしい。


あれはお義父さんのストレス発散でもあったのだろう。


私だからじゃない。


私が悪いわけじゃない。


そう何度もママが言ってくれた。


だけど、私がいたから壊れた事には変わりないんだーー。



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