金魚すくい
「前に、俺の店に一緒にご飯食べに来た人、あれってバイト先の人だよね? 俺は絶対あの人と柚子が2人でご飯なんて許さないよ」
勉さんの事だ。
勉さんだけじゃなく、男性と2人でご飯に行かないでと言われている。
それは付き合い始めた時に決めた事。
特に勉さんに関しては、私に気があると思ったらしい。
たったあの一回会っただけなのに、その時に思ったとか。
当たっているだけに、さすがだ。
「もしもこの先、柚子が俺の事を嫌いになっても……俺は柚子を離したりしないよ。それでも、いい?」
なんて事をさらりと言ってのけるんだろう。
大人になった優は、昔より自我が強くなったようだ。
いいや、付き合うという事は人を変えてしまうものなのかもしれない。
経験の少ない私だけど、でもそれは……お互い様だ。
「……逆だよ。今後何があっても、私が優を離したりしないから」
挑むようにそう言ったら、再び私の唇にキスが落ちてきた。
笑いながら。
ついばむようにーー。
私はそれを受け入れた。
幸せを全身で感じながらーー。
この先、色んな悲しい出来事があるかもしれない。
また、悲しみに心が折れそうになるかもしれない。
だけど。
私達はもう、離れない。
離れたりなんかしない。
一緒にいればきっと、大丈夫。
2人一緒なら、きっとーー。
【fin】

