金魚すくい


暫く無言で食事を喉に流し込んでいたが、再び勉さんが口を開いた。



「……彼氏は同じ学校の人?」


「はい、幼稚園からの幼なじみなんです」


「ふーん。じゃあ何でそんなに煮え切らない感じの関係なのかな」



煮え切らない、か……。



「……うーん、何ででしょうね」



私は、あははっと力なく笑った。


その様子を少しの間見つめていたが、やがて話題はバイトの話に移った。


きっと、この話の先は最も言いにくいのだろう、と察してくれたに違いない。


これ以上は踏み込まないであげよう……なんて、大人な勉さんはそんな風に思ってくれたんだと思う。


それが何よりありがたかった。


なにせ、実際どう説明すればいいのかわからなかったから。


これ以上聞かれるのは正直、キツかったから。


だって……確かにつき合おうと言われ、つき合っている。


だけど、一緒に帰った事も遊びに行った事も無い。


いいや、相手は幼なじみだから遊びに行った事はある。


しかしそれはつき合う前、幼いころの話だ。


じゃあなぜ彼はつき合おうといったのか。



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