金魚すくい
天気は晴れ。
私の心の中とは裏腹の晴天だ。
バイト先へと向かいながら、空を見上げ雲の流れる様子を見つめる。
ーーっあ。
ふと目にとまった雲。
その雲がなんだか魚の形に見えた。
……ううん、違う。
あれは魚というよりも、金魚。
あの時の、赤い金魚。
雄馬と優からもらった金魚。
あの金魚はどうしたんだっけ。
持って帰って、それからーー。
……ああ、そうだ。
あの金魚はあの後すぐに、死んだんだ。