金魚すくい


私は1人、新しいクラス分けされた教室へ向かう。


今日から正式に高校2年生だ。


だけど1年から2年になろうが、たとえ3年になろうが私にとっては代わり映えしない。


早く高校を卒業して、就職して一人暮らしをしたい。


あの家を早く出たいのだ。


あの人がいない遠いところへ。



「ねぇ雄馬、今日学校終わったら遊びに行こうよ」



私の足は一瞬歩みを止める。


教室の扉を開けようとした時、その言葉は中から聞こえて漏れてきた。



< 79 / 262 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop