キミ想い

STORY15 【かけ違えたボタンのように】



あっという間に桜が散って、遅咲きの桜さえも目にしなくなった頃。

せっかくの休日なのに、私一人、ショッピングモールをぶらぶらしていた。


まだ春が始まって間もないのに、洋服屋さんはすでに夏の気配を感じさせるコーディネートをマネキンにさせている。

まだ買うには早いよな……と思いつつも、蓮の好みの色や好きそうな着こなしのものを見るとついつい手にとって見てしまったり。

……私ってこんなに彼色に染まるようなキャラだったっけ?


「あれ、片桐じゃん?」


蓮に恋愛染めにされつつある事をこそばゆいとムズムズしてた私に突如かけられた声。

振り向けば、そこには桃原が立っていた。


「桃原、一人なの?」

「待ち合わせしてんだけど、時間早いから暇つぶし。佐伯は?」

「今日は友達と遊ぶみたい」


そうなのだ。

元々会う約束はしてなかったんだけど、どうやら私が予定を聞くよりも先に先約が入ってしまったらしく……


「ははぁ、で、ふてくされて買い物でストレス発散ってわけか」

「違うよっ。暇だから出てきただけ!」


……なんて言いつつ、本当はちょっとスネてたり。


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