キミ想い

STORY34 【嘘だと言って】



「……もう……朝になっちゃった……」


合宿所。

まだ隣の布団でスヤスヤと眠るかりんの寝息をききながら、私はボソリと呟いた。

カーテン越しに薄く差し込む朝陽を、一睡もしてない私はぼんやりと眺める。


合宿一日目は終わった。

野宮さんの件に関しては何事もなく無事に。

ハルのイライラは……多分、今日もまだ継続しているのだろう。

蓮は……


『自分を、ハルを、なずなを傷つけたとしても……俺はお前を取り戻したい』


昨夜の出来事を思い出して、私は掛け布団を引っ張り頭からかぶった。


蓮の言葉が、声が、耳から離れない。

視線と同じように真っ直ぐに向けられた彼の想いが、私の心の中をかき乱し続けている。

甘くて、切なくて、苦しくて。

押し込めてしまったはずの感情が、蓮の想いに手を伸ばそうとするのを感じて。


「……だめ……」


私はギュッと目を閉じ、起床の時刻までずっと布団の中でうずくまっていた。


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