キミ想い


「……なずな?」


右京を、抱き締めてしまった。

静かに驚く右京の声。


「私が……傍にいる」


想いが溢れて。


「私が右京の寂しさとか悲しさとか、全部全部、埋めれるように傍にいるよ」

「なずな……」

「……右京が好きなの」


止まらない。


まるで時が止まったように、私たちは身動きしないままで……

右京から言葉が返って来ない事に今更ながらに不安になった。


どうしよう。

このまま離れて、笑顔作って「なんてね」とか言ってしまおうか?

冗談にすれば右京に──


「俺は、かりんが好きだ」


卑怯な気持ちを神様は許さなかったのか、右京の声が耳に届いた。

弱々しいけれど凛とした声と響きに、私の心が壊れそうになる。


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