キミ想い


やがて、彼の体温が離れれば、私たちはまるで何もなかったかのように会話を交わす。


「そのドラマって確か来週最終回だよ」


右京が言って。


「え! じゃあ録画しないとだ」

「夜遊び?」

「せいかーい」


笑いながら答えるけど、私はそれ以上聞かないでと願う。

だって、その日の夜遊びの相手は……かりんだから。


右京に、この名前を聞かせたくない。

聞かせてしまえば、右京はきっと寂しい顔をのぞかせる。

それで私も悲しくなる。


辛くなる。


だから私は立ち上がった。


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