キミ想い


「じゃあ俺が選ぶから無理にでも歌えよ」

「ええっ!?」


リモコンを持った佐伯はあれよあれよという間に何曲か予約する。

しかも全てが明るくてノリのいい曲だ。


前向きな歌詞。

勢いのあるリズム。


不思議な事に、それらを歌い続けていたら、少しずつだけど気分が上がっていった。

時間が迫って受け付けからコールが来た頃には、ここに来た時よりも元気になってたのは確実で。

部屋を出た時には、最後に佐伯に無理矢理歌わせてデュエットした曲を口ずさむ程だった。

会計を済ませて外の空気を吸うと、佐伯が零す。


「まさかあんな難しいのがラストに来るとはな」


佐伯と最後にデュエットした曲は、歌唱力の高いアーティスト同士がコラボして話題になった曲。

佐伯の声には会う気がして、曲を知ってるって言うからマイクを押しつけた。

確かに難しいけど、なんとか歌えてた佐伯はなかなかかっこ良かった。


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