ずっと、君を。

正反対



S aid : 麗


「麗ー!」


今はもう聞きなれた声で呼ばれる。
はーい、と私なりには大きめの
声で返事をする。
次の教科は移動教室のため
教科書と筆箱を持って
振り返ろうとした、その時。




「ひゃ、わ」
「うお!」



私よりも大きい何かがぶつかってきて
思わず倒れ込んでしまった。


「あ、すみません..。」


こんなの慣れてる。
どうせ無理とぶつかってきたに
決まってる。 そして笑いながら
立ち去っていくんだ。

軽く息を吐き出しながら
顔を上げると..




「...え?」


目の前には私ではない、
そして美希ちゃんでもない。
骨ばった、大きな手のひらが
そこには あった。

そのまま目線を手首、腕。
徐々に上げていくと....




「わり、大丈夫だったか?」

ブレザーにネクタイ、
完璧な男の子が手を差し出して
いてくれた。









< 3 / 5 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop