*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
「……………っ」







汀は灯の身体にぎゅっとしがみついたまま、まだ目をきつく瞑って固まっている。





灯はくすりと笑って、その頬をつまんだ。





汀がはっと我に返ったように目を開けた。





そして、目をまんまるに見開いて、灯の顔をじっと見つめる。







「………な、な………」







「……………」







「………急にどうしたの? 蘇芳丸!


び、びっくりしたぁ〜〜〜………」







「…………べつに」








灯が低く小さく呟いたので、汀は首を傾げて耳を寄せる。







「え? なぁに?」







「…………お前が、朝日を見たいと言うから。


屋根の上からなら、見えるだろう?」







「……………」







汀は口を半開きにしたまま、灯の琥珀色の瞳を真近に覗き込んだ。






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