華の欠片
「分かった。とりあえず、お前はここに

置く。

それとお前はここの隊士として過ごして

ほしい。ちゃんと報酬も出すつもりだ。」



「どういうつもりです?」



「たとえ女でも実力のある者はこちらと

しても戦力として欲しいのだ。

それに、

あの五人組を殺った時点でお前の剣の実

力はかなりのものと見受ける。」





「断る。

私は一刻も早くここを出て殺らねばなら

ぬ事がある。」






「ダメだ。これは決定事項だ。

それにお前の様な子供を京に野放しにす

るわけにはいかん。

あいにくここは治安が良いとは言えない

からな。

ここにいてもお前の言う、やらねばなら

ぬこともここに居ても出来るかもしれん

。」




こんの糞土方が。


まぁ、いい…。



「...........分かった。ここの隊士になる。

もちろん私のやりたいようにしてもよい

のだろうな?」




「あゝ。好きにしろ。

だが、上の指示には従え。

いくら強くてもお前はここではまだ下っ

端だ。

いらぬ厄介ごとを呼びたくなければちゃ

んと周りを見ることだな。」




「あゝ。分かった」





「よし。お前が何処の隊に属するかは俺

と近藤さんで決める。

その間、そこに居る誰かと手合わせ頼む



お前の実力を見ておきたい。」






「分かった。で、誰と手合わせすればい

いんだ?

名前も知らん相手と手合わせするつもり

はない。

ついでに弱い奴ともやる気はないが」






「あゝすまんな。自己紹介がまだだった

のをすっかり忘れとったな。

私は近藤勇だ。ここの局長をしている。

挨拶が遅れてすまなかった。」





厳ついけど、優しそうな人なこの人はニ

カッと笑って私を見た。


……厳つい猿…

なんだっけか…西洋の書物に似たような

生物を見たことが………ぁ


あぁ、ゴリラだ。ゴリラに似ている‼︎



「俺は土方歳三。浪士組の副隊長だ。色

々とすまなかった。

あと…お前16と言ったな…

残念ながらここにいる連中のほとんどが

お前より年上だ。

敬語くらい使え。年上を敬え。」




「その事はもういい。

分かった。気が向いたら敬ってやらんこ

ともない。」




そうか。人を小馬鹿にしたような目で見

てきてたのは土方というのか。

仕方ないから名前だけは覚えといてやろ

う。

てか、敬語とやらは土方には絶対使わねーよ。



「お前言ってるそばから!

敬え!このガキが」


「知らん」

こいつの眉間は皺だらけだな。

無駄に綺麗な顔が台無しだ。

「僕は沖田総司です。一応副長助勤。

これからよろしくお願いします。椿さ

ん。」


沖田とは前に話した事あったがここの偉

い人だったんだな。



見た目からして沖田は私と同い年くらい

に見えるが…

いや、年上…か?



しっかし、一番気がかりなのがキリッと

した目がうざいくらいに綺麗。

何故か男の癖にここの連中は美形が多い。

まぁ、ゴリラ以外だが。

平凡女の私への当て付けか⁉






「俺は斎藤一だ。....よろしく。」




「あゝ、よろしく。」




この人は無口っぽい。

私も口下手な方だから丁度良いのかもな。





「俺は藤堂平助。こう見えて幹部の一員

なんだからな!

で、こちらが左之さん

んで、この方が永倉さん。」





「おい、平助。俺らの適当過ぎじゃねぇか?」





「いいじゃないっすか。俺がものぐさな

2人の為に紹介してやったんだから逆に

感謝して欲しいところです。」





「おぅおぅ!言うじゃねぇか、平助」





なんというか、この三人はとても仲が良

さそだ。

裏でバカ三人とでも言っておくか。





「私は山南と申します。困った事があり

ましたらいつでも頼って下さいね。」






「あゝ、…ありがとう……ございます?」


メガネの優しそうな人は山南さんという

のか…

何故かこの人には敬語を使ってしまった。

いや、敬語じゃないといけない気がした。

この眼鏡の奥の深い瞳が何か恐ろしい事

を物語ってそうで…



「お前敬語使えるんじゃないか。」


「私だって敬語くらい使える。

見くびって貰っちゃ困るな。

まぁ、土方には敬語など必要ないと思う

が。」


「なんだと⁉

この糞ガキ…

………あと、言い忘れてたが、ここに居

る連中はこの組織の幹部だ。平隊士達は

お前が女だと知らない。その男装で隠し

通せ。」



「あゝ、分かった。」

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