サヨナラのしずく
「もうひとりにはさせねぇよ」




真剣な目をして俊平はそう言った。



その言葉が嬉しくてあたしはまた涙が溢れてきた。




「うん、もうひとりになりたくない」





ひとりって死ぬほど寂しくて孤独で…だけどそれだけじゃない。



震えるほど怖いんだ。





「ああ、俺がいるからこんな震えんじゃねぇ」


「うん」




自分が今、震えているなんてわかっていなかった。




「もうお前はひとりじゃねぇ」


「うん」



「お前には俺がいる」




あたしには俊平がいる。



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