サヨナラのしずく
だから、タクミさんが女を作らないのは良いことなのかもしれない。




「でもあたしはお兄ちゃんに彼女ができてほしいんだ」


「どうして？」




ユウカさんはナオさんのことを知らないのかもしれないけど、あたしはナオさんのこと知ってるからタクミさんが正しいと思った。




「どうしてって、普通じゃない？お兄ちゃんに幸せになってほしいって」




幸せになってほしいか…。



ユウカさんはあたしと考え方が全く違う。



と言うか、あたしにないものを持っている。



思いやりって言うか、愛情っていうか。



だからか人と話すのがあまり得意じゃないあたしでも、今ユウカさんと話していることが苦痛じゃない。




「ユウカさんも優しいね。タクミさんと同じだよ」


「普通だよ、あたしは！それより雫さんはお兄ちゃんが好きなの？」


「えっ？」


「やっぱり違うのか！何となくわかってたけどね！お兄ちゃんのことが好きな人はあたしにお兄ちゃんのこと質問責めしてくるの！本人に聞いてってくらい」




こう言いながらもユウカさんの笑顔は優しくて、ユウカさんも優しい人だと思う。






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