溺愛王子とヒミツな同居



「他の奴の前で言わない方がいい」



何も言えずに、ただ見つめるだけの私の耳に低く響く声。



何事もなかったように、その後すぐに大翔君は離れた。



今の……どういう意味?



聞きたいのに、ドキドキしすぎて声が上手く出ない。



大翔君の息が微かにかかった耳が熱い。



その熱が全身に伝染していく。



言われた意味はわからないのに、私の口から勝手に言葉が零れる。



「大翔君にしか、言わないよ」



きっと、この熱のせい。



いつもよりドキドキしてるのも、自分でも思ってないことを口にしちゃうのも。



きっと……全部、この熱のせいだ。



そう思うことでしか、今の自分をコントロールすることができない。



そんな気がした。



「まりや……」


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