溺愛王子とヒミツな同居
コトッとテーブルの上に真っ白なお皿が置かれて、その上には出来上がったばかりの卵サンドが可愛いサイズに切り分けられて乗っていた。
「あ、ありがとう。わぁ〜、美味しそう!」
「それとサラダもあるけど、ドレッシング何にする?」
う〜ん、と悩んでいると前の方からビシビシと視線が投げられる。
見ると、口にフォークを付けたままの谷山君が羨ましげにこっちを見ていた。
「まりやの朝飯のが豪華なんだけど、この違いは何なの」
「え? あ……えっと。良かったら食べる……?」
こんなふうに言われてしまっては、居心地悪くてそっと聞いてみる。
途端に目を輝かせて、手を伸ばそうとしてきた。
「これは、まりやの飯だからお前にはやらない。
居候のくせに食い意地張ってんじゃねーよ」
タイミングよく大翔君にお皿を取り上げられ、それから数分……
1つだけでいいからとお願いする谷山君に、ダメだと返す大翔君2人の押し問答が続いた。
その後、無事に朝食を食べられたんだけど、コーヒーを飲みながらずっと納得いかなそうな谷山君を直視できなかった。
「ほんとヒロって、まりやにだけ激甘だよね〜。昔っからさ。
あ、もしかして朝まりやの部屋から出てきたのも、小さい頃と同じで一緒に寝てたとか?
さすがにそれはないか。昔と今じゃ色々と違うし、幼なじみだからってそこまではしないよな」
からかい混じりに笑いながら、こんなことを言う谷山君に内心ドキリとする。
見ていたかのような口ぶりに、こういう時どうやって答えたらいいんだろう。
探るように尋ねてくる彼の聞き方は、小さい頃から苦手だった。
心の中を読まれてるようで、いつもビクビクしてたから。