EGOIST
次の日……

『ヤバイヤバイ! ぜ~ったいヤバイ!!』

北河柚。
今日もギリギリの登校です。

《―3番線、ドアが閉まります―》

『まッ、待ってぇ~!!!』

ドアが閉まろうとする電車に手を伸ばし、何とか入口付近にあった何かを掴む事が出来た。

『うわッ……!!』

それは、入口付近に立っていた人の服。

掴まれた人と私は、共にホームに転がるように倒れてしまった。

そして無情にも、電車は私達を置いて走り去っていったのだった。

きょ、今日も遅刻決定……
そう思って肩を落とした、その時。

『てめぇ……』

一緒に倒れた人がムクリと起き上がった。

長めの金髪……
綺麗な顔立ちの……

『し……真くん?』

『……柚?』

それはまさに昨日、ホストクラブで会った彼。

しかし服装が……

『真くん、それうちの高校の制服じゃ……』

『んな事より俺、単位かかってんだけど』

お、怒ってらっしゃる。

『ご、ごめんなさい』

ようやく自分のした事の重大さに気づき、泣きそうになるのを堪えて頭を下げる。

そんな私に真くんは、昨晩のようにケラケラと笑い出した。

『嘘嘘! すぐ顔変わって可愛いからやっちゃった!』

『へ……?』

『俺、柚の事お気に入りなの』

ん?
どうゆう意味だろう。

『ってか、俺達同じ高校なんだね』

『あ、そうみたいだね! 制服も……』

同じ……

『俺、掛井真紅(カケイ シンク)。 もう1本電車待とっか』

もしかして真紅くんも一緒に?

どうしよう。
話がもつかな……

『まぁ、隣に座んなさい』

『お……おじゃまします』

少し遠慮して離れて座る。

それなのに、わざわざ近くに座り直す真紅くん。

ち、近いよ〜!

『さて、柚さん?』

『は、はい』

『涼とはどんな関係かな?』

……涼?

『関係って…… 昨日、お店で会っただけだよ?』

『本当?』

真紅くんの問い掛けに何度も頷く。

『ふーん』

真紅くん?
何が言いたいんだろう。

涼くんと私の話でもしたのかな?

『涼のやつ、何であんな事……』

気になるけど、聞いていいのかな。

『あ、電車来たよ』

『う、うん!』

何と無く聞きそびれてしまい、私達は並ぶようにしてドアをくぐった。
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