糖度∞％の愛【改訂版】

「いや、これは女の戦いっていうか、なんていうか、……ねぇ？」


あはは、とから笑いでごまかしてみる。けれど、やっぱり彼方の顔は、しかめられたままだった。


「俺の気持ちも考えてください」

「うん、考えたけど。ここで彼方にでてこられても、火に油をそそぐっていうか……」

「それでも、俺は半端な気持ちであなたと付き合っているわけじゃないんです」


彼方の言葉には、返せないほどの愛がたくさんつまっている。なんだかそれが堪らなくなって、目の前の彼方にぎゅっと抱きついた。
彼方のコートに顔をうずめながら、「ごめん」とぐもった声で呟く。


「俺は会社の同僚の冷やかしとか、そんなことよりも、沙織を守ることを優先します」

「っ」

「見ててください。明日です。　明日の午後にはもうそんないたずらはなくなります」


やけに自信満々で言い切る彼方には、何か策があるらしい。
まっすぐに見つめてくる彼方の目は、本当に澄んでいて淀みがない。こんなにまっすぐ私を好きでいてくれる彼方が、一体何をするのか。私には全然想像がつかなかった。


「……なにするの？」

「俺を頼ってくれなかった沙織には、頼まれたって教えません」


意地悪な言葉。でも、ぎゅっと抱きしめてくれた腕は、苦しいくらいに愛であふれていた。
まるで“何も心配しなくて大丈夫”と言われているみたいで、思わず笑みがこぼれた。

私の年下の彼氏は、とっても頼りになるらしい。