クマのぬいぐるみ

疑惑

俺はその夜、静まりかえる部屋の中ふとしたように壁に耳を当てる。すると、
「えー…うそ!?あはは。そりゃあレイコが悪いんだって。ダメじゃんかぁ…」
彼女は携帯で友達と話をしているのだろうか、うっすらと彼女だけの痴話ばなしと笑い声が聞こえてきた。俺はドキドキしながらその会話を聞いていた。
甘い声色に俺は胸踊らせていた。
しかし突然
「ガタッ」
というテーブルがズレるような音と共に会話は途切れた。俺は辺りを見回したり、壁に耳を付けたり繰り返しながらうろうろしていたが、結局その後は声が聞こえてくることはなかった。
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