君と過ごした嘘つき時間



「ひ〜、やべぇ…早く戻んねーと!」

慌てた様子で教室に入って来たのはあっつー。

自分の席やロッカーで
何かを探し始めた。

「急に戻って来てどーしたの?あっつー」

「いやぁ、部活のタオル教室に忘れてさぁ〜」


そう言いながら「お、あったあった」と
タオルを握りしめてすぐに
教室をあとにしようとする。


「お前ら遅くならないよーに帰れよー?」

「そんな子供みたいな扱いいらないしぃ!」

そう笑いながら「じゃーな!」と
手を振って廊下を走っていったあっつーに…

「ま、待って拓馬!!!!!」


今まで口を開かなかった侑華が
勢いよく椅子から立ち上がり廊下に出た。


「どうした?侑華」


二人の距離はすごくあったんだけど
お互いの声は届く距離…。


「今日、部活終わったら会えないかな?」

「あー…………」


そう言うとあっつーは困った顔をして…


「だ、だめならいーの!
ただ、少しだけ話がしたくて…」


侑華があまりにも真剣に言うから
あたしと雅ちゃんはそれを見てポカーン。


「侑華ちゃん、どうしたのかな?」

「さ、さぁ…?」


「無理…だよね。
ごめんね急に呼び止めて部活頑張って!」

「分かった…じゃあ帰ったら連絡する!」

「え?」

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