王子様の危険な恋愛領域
保健室にやって来ると、篠田先生が目を丸くしながら私たちを見た。


「光琉、お前って…かなり大胆なヤツだな。芹澤さんを抱きかかえて、ここまで連れて来るなんて。いつの間に、そんな親密な関係になったんだ?」


「まだ、親密とか…そんな深い仲にはなってねぇよ。それより、紗姫が階段から落ちて足をくじいたんだ。ちょっと診て欲しいんだけど…。」


「えっ、わ…分かった。それじゃあ、光琉。芹澤さんをこのイスに座らせてくれないか?」


デスクの傍に置いてあった丸イスに視線を向ける篠田先生。


光琉は、ゆっくりと私をイスの上に降ろしてくれた。


その後、くじいた右足首を丁寧に診てもらった私。


結果は、軽い捻挫だった。


「冷湿布とテーピングで処置しておいたよ。明日は、念のため…病院で診察を受けた方がいい。それから、出来るだけ安静に過ごしてね。」


「は、はい…。ありがとうごさいました。」


優しい笑顔を浮かべる先生に、力なくお辞儀をした。


うぅ、捻挫かぁ……。


こんなことになるなら、もっと気をつけて階段
を降りれば良かったな…。

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