王子様の危険な恋愛領域

気付けなかった想い

お、お腹空いた……。


今日の最後の授業の体育が終わり、更衣室で制服に着替える私。


頭の中を占めるのは、そればかりだ。


「紗姫、どうしたの?やけに、グッタリしてない?」


そんな私がダルそうに見えたのか、隣で着替えている亜弓ちゃんが心配そうに声を掛けてきた。


「ちょっと、お腹空いちゃって…。」


「私も~!今日の体育、結構ハードだったもんね…。」


「う、うん…。」


本当は、体育がどうこう以前に、お昼自体…全く食べてない…っていうのが理由なんだよね。


私は、グウッ…と小さく鳴ったお腹をさすった。


お昼休み…。


光琉にキスされて、抱きしめられて…。


解放された後も、凄まじいドキドキが続いていて、ご飯が…喉を通らなかった。


胸がいっぱいで。


あんな感覚、初めてだったな…。


頭に浮かぶ、お昼休みの光景。


キスの感触を思い出して、鼓動が一気に速くなる。


ジュワッと湯気が吹き出しそうなほど、顔が熱くなってしまった。

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