【完】お人好しな彼に、恋をしました。
至近距離で黒い瞳に見つめられると、つい目を逸らしてしまう。
「そろそろ、名前で呼ぶの慣れてほしいな?」
「あ、その、ごめん。……は、恥ずかしくて」
「琴葉には琴葉のペースがあるもんね。ごめん、無理強いして」
「謝らないで!悪いのは私だから」
……なんか気まずくなっちゃった。
『は』までは口に出せるんだけど、どうしても『る』が出てこなくて……
あの時何の戸惑いもなく呼べたのは、やっぱり魔法のおかげだと今になって痛感する。