終わりを紡ぐモノクロ

息を整えながら、探るように寄越される視線を受け止める。
塔に住む、贄。どうして、こんなにも綺麗な女の子を閉じ込めたりできたんだろう。

「…あなた、誰?どうして、…」

「物語の真実が知りたかったんだ。女の子を閉じ込めたら、国を守れるなんて嘘だって信じたくて、此処へ来たんだよ。」

「ものがたり…?」

首を傾げ、辿々しく紡ぐ言葉。
少女は何も知らない子供のように、ほんの少し強く発せられた言葉にすら怯えた。まさか、と思う。でも、国家が贄に割く時間などあるだろうか。

「何も…知らないの?君が此処に閉じ込められている理由も、何も?」

「知らないわ。…此処にあるものが分かれば良い、のでしょう?充分だって、言ったもの。」

肯定されることが当たり前のようだ、本当に、此処だけで生きていくのが彼女の当たり前?
驚きや、失望。悲しさ。そんなものをしまいこみ、なるべく怖がらせないように笑む。

「充分なんかじゃ、ないよ。全然足らない。だから、…私の話を聞いてくれる?」








< 6 / 7 >

この作品をシェア

pagetop