ハッピー☆ウエディング
慶介はさっさと立ち上がって帰る準備を始めた。

あたしはそれがいたたまれなくなって目をそらした。

『帰しくない』と言った慶介の言葉が現実になればいいなんて思えてしまう。


「……」


「葵?」


慶介が不思議そうにあたしを眺める。



それもそうか…

今のあたしはただ、欲しい物が手に入らないですねている子供と一緒だ。




わかってる。

そんなのわかってるよ…

ただ、慶介を困らせるだけだって。




ちゃんと言う事聞かなきゃ。


あたしはキュッと手に力を入れて立ち上がった。


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