ハッピー☆ウエディング

今のあたしは瑛太になにを言うかわからない。
他人に優しく出来る自信もなかったし。

履き崩したローファーをコツコツとならして歩く。

そして、急ぐあたしの足音に簡単に重なる足音。


「どこ行くんだよぉ、葵ー」


瑛太は、ポケットに手を突っ込んだままあたしに追いついて視線だけを向けた。


「・・・・気安く呼び捨てにしないでよ」


馴れ馴れしいヤツ!!


眉間にシワをよせたあたしの顔を見て瑛太は、


「忘れたとは言わせねぇぞ。俺にした失礼の数々・・・」


と言って、ジロリとあたしを見た。


「はぁ!?」


あたしは立ち止まって振り返った。
あたしがいつ、どこで、そんなにあんたに失礼したっての!?


「あんたね・・・」

「ちょっと付き合え」

「へっ?」


瑛太は、そう言うと返事も待たずにあたしの腕を掴んで歩き出した。



なになに!!?


助けて~~!!!!


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