ハッピー☆ウエディング


「・・・てかさ、別にこんな高いもんじゃなくてもいいんじゃないの?」


あたしの様子を眺めていた美羽は痺れを切らして言った。
美羽の言葉にようやく顔を上げて首をかしげた。


「じゃあ、美羽は何あげるの?」


「あたしはブリーフ」



へ?



寒そうにマフラーをグルグル巻きにしている美羽。
頭のてっぺんに長い髪で大きなお団子を作っている彼女は人形のようにかわいい。


その美羽から出た言葉とは信じがたい。



あたしが固まっていると、美羽はにっこりと笑った。



「なんでもいいんだよ!
あたしはバーバリーのブリーフがいいって言われたからそれにしただけだし。
それとも、慶介さんは値段気にするような人?

要は気持ちなんだって!」



美羽はそう言うと、あたしの腕を引っ張って歩き出した。




そっか。

そうだよね。


気持ちなんだ。



彼を想ってプレゼントを選ぶ。



この想いが大事なんだ。


結果は後からついてくる・・・・。



あたしは、小さな雑貨屋に売っていた灰色のマフラーを選んだ。

慶介の茶色い瞳にとても合いそうと思ったんだ。




喜んでくれるといいな。



慶介の喜んでくれる顔を想像して、あたしの心はほんわかあたたかくなった。

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