ハッピー☆ウエディング


「あッ。瑛太?」



瑛太が電話に出ると同時にあたしは、勢い良く話し出す。


「慶介・・・慶介、どこにいるか知ってる?
電話に出なくて・・・
あたし、どうしても慶介と話がしたくて・・・」



「ちょ・・・ちょっと落ち着けって。どうしたんだよ?」




瑛太はあたしを落ち着かせようと、ゆっくりと言った。

あたしは、たった今自分に起こったことを話した。



「・・・・・」



瑛太が受話器越しに考え込んでいるのがわかる。



「・・・・もしかしたら・・・・」


「え?なに?」




断定は出来ないけど・・・・と瑛太はある場所を教えてくれた。




「うん。でも、行ってみる!ありがとう」


「葵」




急いで電話を切ろうとした瞬間、瑛太に呼び止められた。



「・・・なに?」



離しかけた携帯を、もう一度耳元に戻した。





「がんばれ。」


「・・・・・・うん。行ってくるね」




そう言って今度こそ携帯をパチンと閉めると、コートとマフラーを掴んで玄関を飛び出した。





外は、もう真っ暗だったけど街灯の淡い光に薄っすら積もった雪がキラキラ光っているようだった。











あたしは、迷わずその場所に向かった。




慶介がいると信じて――――――



< 292 / 337 >

この作品をシェア

pagetop