ハッピー☆ウエディング


一ノ瀬慶介がどうしてここにいるの!?



あたしは開いた口が塞がらない。





確かに、今日この旅館に泊まってるのは、父の会社とその親会社。
それと、【中山様御一行様】だけのはずっ!!




あたし、中に入る時確認したもん!!




慶介は、あたしに気付いていないようで一緒にいる体格の良い男の人と歩いてる。



2人も温泉に行ってきたらしく、紺色の浴衣を着ている。


浴衣姿の慶介・・・

長身の彼にはとてもよく似合っている。
髪は乾かしていないようで、まだ濡れていてタオルを首にかけていた。
濡れた髪が色っぽい。


あたしの心臓は思わずドキッと脈打った。





「どうかした?」

「ぎゃっ」


浴衣姿の慶介から目が離せないでいると、ふいに背後で声がして、あたしは軽く跳びはねた。


振り返ると母があたしの顔を覗き込んでいた。



「お母さん、一ノ瀬さんがいる」



あたしは、なるべく動揺しているのを悟られないように、慶介を見た。




「え?」



母もとても驚いた顔をした。

そーなの。

あたしも、それはもーうびっくりして……




「葵、知らなかった?」


「へ?」






“知らなかった?”………ですか?



て……ことはつまり……








どういう事!?



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