LOVERS♥HOLICK~年下ワンコと恋をして
 バラバラになってしまった、バラの花びらは、

赤い模様のように紺色の絨毯に散りばめられた。


彼女はそれを大切に拾い集め、

備え付けられていた、クリーニングバッグに詰め始めた。


「そんなことしなくったって」


「ダメよ。彗が買ってくれた大切な花たちだもの。

 ゴミになんかできない。乾燥させてポプリを作るわ。」


散らずに助かった花は綺麗に束ねられてくくられていた。


柊は前からしっかりしているとは思っていたけど、

こういうところは僕を育ててくれた祖母によく似ている。


庭で育てたハーブを束ねて乾燥させて、お茶や入浴剤を作っていたっけ。

そんな彼女をぼんやりと見つめながら、

柊の指に収まった、婚約指輪を眺めている。


長かったな。



ほんとうに手に入ったんだ。


彼女と出会って、今まで、彼女を手に入れることだけを考えていた。

自然と、柊のもとに行き、後ろから抱き寄せていた。


「きゃ。ヤダもう彗っ!」

「ダメ?もう僕のものでしょ。

 抱きしめたかったら抱きしめていいんでしょ?」

「……」

一瞬固まった柊の背中は、僕を拒絶はしていない。

調子に乗っちゃうけどいいかな。

さらにぎゅうっと抱きしめた。









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