鉄の救世主Ⅱ(くろがねのメシアⅡ)
参入
酷い雨だった。

秋雨前線の北上に伴い、ここ最近雨が続いている。

88式鉄帽から滴る雨粒を気にも留めず、小川 和也(おがわ かずや)三等陸曹は黙々と瓦礫の撤去作業を続ける。

…巨大な隕石が日本列島の広範囲に亘って飛来、各地に甚大な被害をもたらす。

そんなSFじみた大災害が起きたのが、二年前の事だ。

『日本大災厄』と呼ばれるこの大災害の際、逸早く被災者の救助に当たったのが戦術自衛隊と呼ばれる組織だった。

我々の住む世界とは違った歴史を辿ったこの世界で、『能動的戦闘行為と人命救助』を目的に結成された軍事組織。

その性質上反戦団体から槍玉にあげられる事も多かったが、大災厄の際に被災者の避難誘導や被災地の復興、繰り返し飛来する隕石の迎撃、排除に尽力したのは、紛れもなく彼らだった。

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