こんな能力(ちから)なんていらなかった



「……で、なんで紫音が私の彼氏だと思ったの?」

「だって、あの日一緒に帰ってたし……」

「それは幼馴染だから」


ぐぬっ!

 普通の答えに詰まる。


「……じゃ、じゃあ、何で紫音のこと言うと怒るの?」

「それは、……」


 みるみるうちに葵の顔が般若になってく。


「————思い出すだけでも腹立つ!!」

「!?」


 いきなり怒りの声を上げる葵に心底驚く。


「だってさ、紫音ばっかり優羽に会っててズルくない!?私だってずっと探してたのにさ!ちゃっかりデートしてるし!」


 答えにビックリして葵の顔を見る。

 葵は頬をパンパンに膨らませていた。


「つまり、ヤキモチ?」

「そうだよ!」


 葵はこっちに向き直る。


「いつも学校で優羽のことばっか話す癖に合わせてくれないんだもん!ずるいじゃん!!私だって優羽とデートしたかったのに、紫音ばっかり優羽のこと独り占めして!」

「……あ、葵さん?」


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