『友人狩り』
バスの前まで来ると、さっき教室の窓から眺めたスーツを着た人たちが立っていた。

「早く、お乗り下さい。」

バスの入り口に1番近くに立っている女性が冷たく言った。

雫は、その女性の目をまともに見ることができなかった。
その女性だけでなく、他の男性5人の目は冷たく温もりのない目をしていた。

雫たちがバスに乗ると

「遅ぇぞ!!お前等。」

「雫たち遅い!!」

と次々にクラスの皆に罵声を浴びさせられた。
雫たちはそれを適当に交わしながら1番前の席に座った。

すると、さっきの女性がバスに乗ってきて雫に聞いた。

「佐々岡優李さんは？」

「えっ？」

いきなり優李の名前が出てきたため、雫は一瞬言葉につまった。

「佐々岡優李さんも3年B組の生徒さんよね？」

女性に尋ねられた言葉にどう返事をしようかと雫が迷っていると隣から郁哉が

「佐々岡さんは退学しましたよ。」

と答えた。

その言葉に女性の顔が困ったように顔色を変えた。
それを素早く察した航平は「佐々岡さんがどうかしましたか？」と女性に聞いた。

「いいえ。」

女性はそれだけ言うとバスを一旦降りて、どこかに電話をかけはじめた。
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