一途な彼女と意地悪な彼




「なにしてんの」
「…何って、散歩?」
「まさか、俺との約束忘れてないよね?」


忘れてないよ。
ずっと待ってたんだもん。
嬉しかったもん。

だけど、そんな言葉は出てこなくて、


「約束って?」


なんでこんなこと言っちゃったんだろう。
素直に言っとけばよかった。


「…あ、そう。別に花火大会、俺たくさん誘われてるから。お前なんて別にどうでもいいし。ちょうどよかったわ。今断ろうと思ってたし」


なんだ。

やっぱりそうじゃん。

なら最初っから誘わないでよ。


「……そう。それはよかった」


これ以上ここにいると泣きそうで、
祐介の前から立ち去った。
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