同期が急に変わったら…。
『いずみ、俺ここから先に行くぞ。』

『うん。じゃあ会社でね。』





会社の少し手前で

時間をずらして出社する。





『いずみ。』

『なに?』

『浮気すんなよ?』

『浮気?』

『俺がお前をもらうから。
よそ見すんなよ。』





ちょっと、こんなところで何?

プチプロポーズに聞こえるのは

私だけ?





『うん…。
もともとよそ見してなかった。』

『知ってる。』

『……。』




はあ。さようですか。








ここ何年かは、

彼もいなけりゃ、

そんな雰囲気になる人さえいなかった。





なぜなら、

そう、

将生の事を、

心密かに思っていたから。








将生とは本当によく飲みに行って

ただ食事に行ったりもして。

仕事終わりに、

当たり前のように。

友達として。






でも、

ルックス良し、

スタイル良し、

仕事が出来て、

信頼もある。





おまけに、

気が合って

落ち着く存在。



これって、好きにならずにいられる?

無理でしょ?





同期で友達。

この関係のおかげで、

彼女のように、

別れるとか、もう会わないとか、

そんな心配はなかった。




だから、

将生への思いに蓋をして、

ひらすら隠して、

同期の友達のままの私でいられた。





ずっと、別れのない友達。





でも

将生に彼女がいる間だけは、

遠慮して2人では、

飲みにも食事も行かなかった。



まあ、そこはマナー?として。

遠慮、とも言うかな。





将生は今になって

なんで急に私にしたんだろ?




なんか、

ときめくような事あったかな?





考えてみるけど、

………ないと思う。

全く、思い当たらない。



謎だ。




わかった。

理由の分からない不安。

将生が、

どうして急にこんな風に

変わったのか。




どうして、急に私にしたのか

分からないからだ。




友達なら、終わりが来ないけど、

彼女には終わりが来るかもしれない。




これが不安なんだ。
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