幼い頃の小さな約束
「・・・?・・・」
古田零は、首を傾げてあたしの顔を覗き込む。
必然的に近くなる距離に、あたしの心拍数は上がった。
屈んだその姿勢は、長身の体を、持て余しているみたいで、少しだけ羨ましかった。
「あたし、昨日助けてもらった、向井ゆきです。・・・覚えていますか?」
なかなか反応を示さないので、あたしから自己紹介を始める。
覚えてなかったら、どうしよう・・・?
あたしは不安いっぱいで、心が軋んだ。