代償
総長、陥る。

カレンダーを。

数日続いた、腰の鈍痛も治り。
私は学校に通っている。

受験だなんだって。
みんな騒いでる。
私は。

決闘が怖くて、落ち着けない。
指折り数える、その日まで。
日数は減る。
折らない指が、増えてきた。


「………会いたいなぁ」
ジュースのストローをくわえたまま。
何気なく、呟いた。

あの日から。
上時が恋しくて、堪らない。
直接重ねた肌。
上時の体重を受け入れた。

………だけど。
何かがつっかえる。
その、何かが分からない。

「会いたいって、あの総長?」
「………梓」
「ボーっとしてるよ?何かあった?」
「ううん。何も」
「ふーん」
あった。
けど、言わない。
「で?ぎっくり腰は治ったの?」
「え?あ、うん。治ったよ」

梓は気付いてた。
私が腰が、痛いということを。
ぎっくり腰だと、受け流して。
………はぁ。
高校生でぎっくり腰て。
………お婆ちゃんじゃない。

『相当、無理させた』

上時は言っていた。
確かに、痛かった。
だからって。
ぎっくり腰って、偽るものなのかな。
………まともな答えがなかったもん。

語彙力、ないなぁ。
次はないなぁ。
すぐ見抜くから。

この友人は。
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