代償

喫茶店で。


「薬、処方箋出しておきますから飲んで下さいね」
………はぁ?
精神科で薬の処方箋?

「精神安定剤だ。結局、夜泣いて寝れなかったくせに」
………そうですね。
怖くて、寝れなかった。
上時のせいじゃなくて、PTSDってやつで。
「まぁ、飲め。少しは良くなるだろう」
………はい。

あのね。
病院の先生、驚いてたよ。
そりゃ、前橋組の総長が女子高生連れてきたら、驚くよ。
………総長ねぇ。


「塗り薬、出しておきますから塗って下さいね」
アザを消す。
ということで、皮膚科。

「すげぇ量だな。薬飲むのサボるなよ」
………はぁい。


前、来た喫茶店。
同じ席。
………2度目だけど、緊張する。
上時は普通にコーヒーを飲んでるし。
オレンジジュースをストローで飲むなんて、小学生みたい。
「マスター、コーヒー追加」
優しそうなおじさんが、コーヒーを持ってくる。
「上城、またえらく可愛い娘、連れてきたな」
「拾った。路地裏で自殺志願者だったしな」
「女子高生じゃないか。未成年者を弄るなよ?」
「バカ野郎。ガキ手ぇ出す野郎は薬中か節度のねぇバカくれぇだ。一緒にすんな」
「そうだねぇ。流石前橋組の総長だよ」
「先代の顔にドロなんか塗れねぇよ。前橋がバカになった時は、ここらは地獄だぜ」
「確かにな。暴走族警察的な?」
「まぁ、俺がトップにいりゃ、安心してていい」

………会話についていけないよ。
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