代償

帰り道。

………うぅ～………。
………は、恥ずかしい！！
「文香？」
横を歩くのは！！
何で！？
手ぇ繋いじゃって！
右手………緊張する！！
こんな仲良く下校なんて！
どこもかしこも仲良くない！！
「何？手ぇ繋いで下校なんてガキくさいとでも？」
そーだよ！！
子供みたいで！！
どの面して言うの！？
「バーカ。防犯だ、防犯。どこから刺客が来るか分からないからな」
………来ないって。
あんたが相手じゃ、誰も敵わないって。
１人で３０人相手して、軽々勝つなんて。
相当、度胸あって喧嘩が強くなきゃ無理だって。
「安心なんかできねぇよ。卑劣な手ぇ使ってくるんだ。下時組は」
………そうっすか。
前橋組とは偉い違いだね。
「まぁ、頑張って探してるだろうな。下時組の娘ー、挙げ句、若いしな」
………へ！？
「若い娘に飢えてるからな。前、言ったとおりだ」
………はぁ。

「明日もキャーラが来るらしいから。朝はキャーラと登校しろよ。１階にはユートもいるはずだ」
高所恐怖症の？
１３階に来れない？
てか、
何で１３階に住んでるの？
１５階まであるのに。
中途半端な。
「おー、潔く今日も何か入っていやがる」
ポストを開け、上時は言う。
何、潔くって。
分からないなぁ。
「………またか」
エレベーターに乗り、手紙を開く。
誰？
彼女？
いるの？
いるよね。
って。

この時代に手紙て。
メールでしょ？
普通。

「氷北組(ひょうほくぐみ)だな。いい奴等の集いだ」
………氷北組？
「前橋組の弟組みたいなもんだ。今度、行こう」
………はぁ。
「居酒屋を経営してんだ。前橋組と氷北組でよく飲んでる」
………へぇ。
下時組は？
何もないよね。
「に、しても………」
やっぱり？
思うよね？
そうだよね！


「氷北組の族長、いい字してるよな」
そこかい！！！