ゆず図書館。*短編集*
 

「……その答えは“あの部屋”に行ったらわかる気がするんだけど」

「っ!」


返ってきた視線は私を誘う。


「……どうする?プレゼントもあの部屋にあるけど……一緒に行ってくれる?」


……回りくどい“確認”。

“オトナの余裕“を感じさせないその言葉に、私の胸はきゅんと疼いた。

……比呂さん、今何を考えてるの?

私の答えにドキドキしてたりする?

断られたらどうしようって不安に思ってたりする?

……それを知るためにはどうしたらいいの?

思い付いたのは、たった1つ。

すごく、簡単なことだ。


「……はい。行きます、比呂さんと一緒に」


私もたくさん知りたいことがあるの。

行けばきっともっとたくさんのことを教えてくれるでしょ?

わからないなら、お互いに確かめ合えばいいんだよね?

……言葉でも、熱でも。

私はゆっくり頷き、比呂さんの目を見つめた。


「……じゃあ、行こう」




……YESの答えが、きっと私たちの距離をゼロにするための鍵。



*距離*
 
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