優しい君に恋をして【完】





次の日、


いつもの時間に6番線に行くと、

そこに優はいなかった。




ひとりで電車に乗って気づいた。



高校に入ってから、


毎朝優と一緒だった。




初めてひとりきりで電車の手摺に掴まり、

窓の外の景色を見た。




こんなにも、違う世界に見える。





手を伸ばせば、すぐそこにいたのに。


顔をあげれば、すぐそこに笑顔があったのに。




今は、ひとり。





もう、会えないの?


本当にこのままもう、二度と会えないの?



それでいいの......?



朝から泣いてしまいそうな目をこすった。



こすってもこすっても、


目を開ければ、


いつもの景色に優がいないことを思い知らされた。





この想いをどうしたらいい?



どうしたらいい.....




掴んだ手摺を、ぎゅっと強く握った。











< 82 / 319 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop