アジサイ
彼女は食い入るように雑誌を見ていた
それはもう本屋の店員が戸惑う程に、立ち読みをする者がいるのはいつもの事でもその異様さには注意の声をかけるのも躊躇われる
周りの目を気にすることもなく前のめりに見ていた雑誌にはある特集記事が載っていた
『新進気鋭の若き天才画家、雨宮色』
その作品たちは見るものを圧倒する
何より驚くのはそのタッチと色彩
数多ある作品のどれもが見る印象を変えてしまう多彩な表現
しかし、見るものを飽きさせない繊細だが迫力のある画面
今、もっとも注目の若手作家だ!
この記事を書いた記者の熱気が伝わってくるような文章の羅列
それを目で追いながら彼女、白井彩加(しらいあやか)は熱を上げる