じぇねれーしょん



憂鬱な週末を越し、更に憂鬱な週始めに突入した。

撮影の立会人として、七緒は夕刻から支度の手伝いに大忙しだ。


リカと顔を合わせるのが気まずい。

恋心を自覚したばかりだった。


スキ。


手にかこつけて、思わずそんな言葉を言ってしまうくらいに。


リカが遊びでも、単なる興味本位だとしても構ってくれる間は、ずっと傍にいたいと思った。

少なくとも自分から別れを切り出すなんて出来ない。

それが不道徳な関係だとしても。


だけど。

だからこそ。


―――いいんじゃないの、皆実さん。七緒さんの一人や二人かんたんにあしらえる。


冷たい嘲弄とともに吐き出された言葉に打ちのめされた。


脅されて家に出向いた最初の日、七緒が安心して寄りかかれるようなオトコが現れるまで構ってアゲル、と言っていた。

押し付けるに適任の人材を見つけたから、もう要らない―――そう言っているのだろうか。


だって。


『あしらえる』、だなんて…。


そこで七緒の気持ちは一気に落ち込む。

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