じぇねれーしょん






夕刻に差し掛かり、短い休憩に入った途端に七緒はそそくさとデスクを離れ、人気のない非常階段に向かった。


時折、喫煙所まで行くのを億劫がる男子社員がこっそりタバコをふかしていることもあるが、幸いその日は誰もいなかった。


それを確認して七緒は携帯を取り出した。


最近、プライベートでとみに利用頻度の高いアドレスを引っ張り出す。


程なくして相手が出た。



『七緒さんからかけてくるなんてメズラシ。』


電話口でリカがクスクスと笑う。


「そんなことより、このメールは何?」








仕事をしている半日の間にリカからのメールが五件ほど連なっていた。


仕事とプライベートで携帯を一つずつ持っていて、仕事中にプライベートの携帯を一々確認することは殆どない。


今日は休憩に入り、特に誰からも何も連絡が入っていないことを確認するために携帯を開いてみて、予想外のメール数に驚いた。


しかも相手はリカから。


一体、なんだ!?と思って、メールを確認してみてまた呆気に取られた。


一件目の内容は『ゴキブリダンスする友人』。


意味不明なタイトルに、前髪にしがみ付くゴキブリに半狂乱で暴れている男子生徒の写メ。



他のも似たかよったかの『なんなのメール』だ。


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