世界は私達に優しくない
 

オレンジに輝く空の下、路地裏を並んで歩く二人の男女。

路地裏を抜け住宅街に出た楽しそうに話す二人の姿に、道行く人々はは皆微笑ましそうな瞳で見ていた。

道行く人々から見れば、仲の良い恋人同士にでも見えるのかもしれないが、二人の関係は所詮幼なじみ。

家が隣同士で、生まれた時からの腐れ縁だ。

だがそんな幼なじみが、高校生にもなって未だに一緒に登下校してるなんて有り得ないと、周りから言われるのが常でる。


「ねぇねぇ凌空、今日の夜予定ないよね? えっ、ない?! じゃあ今日一緒にゲームしよーねー!」

「おい、俺に聞いといて勝手に決めるなよ。予定ないなんて言ってないだろう?!」

「え、あるの? 予定」

「……ない」


持っている鞄を振り回しながら、隣を歩く少年を見上げる少女。

呆れ顔で隣を歩く少年ーー荒川凌空(あらかわりく)は、自らの隣ではしゃぐ幼なじみの少女ーー桜木由希(さくらぎゆき)を見下ろしていた。

学校帰りで普通なら疲れ切っている筈なのだが、由希に至ってはまだまだ元気なのかぴょんぴょん跳ね回っている始末。

その隣の凌空は打って変わって疲れ切っている。

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