身代わり姫君の異世界恋綺譚
「真白ですか……?」

「最近はどうだ?」

「はい、結界を強くしてからは穢れを受けづらくなったようで平穏に過ごしています。元気が良すぎるので、この生活に苦痛を感じているようですが」

女房が入れたお茶を一口飲む。

「真白を連れて白笠山へ行かぬか?」
(白笠山←架空の山)

その山には阿倍家の別宅がある。

「たまにはゆっくりするのも良いぞ?」

清文の案に清雅は子供らしい笑顔になる。

「父上! 本当ですか!?」

「ああ、真白が行けば紫鬼も行ってくれるだろう? わたしが隋人や女房を人選しておく」

陰陽師として優秀な清雅もやはり10歳の子供らしく遊べるとなると嬉しいようだ。

「すぐに真白に伝えて参ります!」

清雅は弾むような足取りで出て行った。

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