身代わり姫君の異世界恋綺譚

真白の力など男にとって脅威でもない。

男は真白が叫べないように頬を強く叩いた。

「っ……」

口の中に錆びっぽい血の味が広がる。

「紫鬼っ! 清雅っ! 助けてーっ!」

叫ぶと男の腕がもう一度振り上げられ廊下から真白は草むらに飛ばされた。

「うっ……」

すぐさま男の腕が伸び、真白は軽々と持ち上げられた。

真白の意識は朦朧としていた。

「……し……き……」

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