身代わり姫君の異世界恋綺譚

絶体絶命

「どうなのじゃ!? 紫鬼っ。真白の気配は感じ取れたのか?」

目を閉じて集中している紫鬼にせかすような清雅の言葉。

無理もない。

紫鬼が目を閉じてから数分は経っていた。

騒ぎを聞きつけた紅も2人の元へやってきていた。

――あの娘がいない? まさか、清蘭様がここまで……?

しかし屋敷と敷地内に物の怪が入れぬよう清雅が結界を張っている。

――あの娘は敷地から出たのか?

その時、紫鬼の目が開き紅い瞳が見えた。

「紫鬼っ!?」

「清雅、真白の気配がまったくない。意識を失っているのかも知れぬ」

< 188 / 351 >

この作品をシェア

pagetop