身代わり姫君の異世界恋綺譚
「どうしたのだ? 紫鬼っ! 真白の身に何が起こっている?」

清雅はただならぬ紫鬼の様子に慌てる。

「真白! 我を呼べ!」



◇◆◇

忠臣は意識を失った真白の身体を抱き上げた。

今までの行動を見ている道重はハラハラしている。

――乱暴すぎる。このままでは娘は……。

「もう我慢が出来ぬ!」

忠臣は吐き捨てるように言うと、真白の血のついた唇に自分の唇を重ねた。

「んんっ!」

忠臣の唇で真白は意識を取り戻した。

力なく閉じた唇は忠臣の舌によって簡単にこじ開けられ口内を入り込む。

「んんんん――」

両手を忠臣の肩に打ちつけるがびくともしない。

唇から逃れようと頭を左右に動かす。

「大人しくしろ!」

忠臣の右手が再び真白の頬を打った。

――し……き……たすけ……て……。

再び朦朧としていく意識で真白は紫鬼に助けを求めた。

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